先に知っておきたいこと
EPUBは、HTMLとCSSをZIPにまとめた形式
W3Cの解説によると、EPUBは、HTML・CSS・SVGなどの資源を1つのファイルにまとめたものです。中身はZIPで、読み手のアプリがそれを組み替えて表示します。HTMLの見出しや段落がそのまま本の構造になるため、タグが整ったHTMLほど、変換の結果が安定しやすくなります。
Webページは、そのままでは「本」にならない
ブログのページには、メニュー、広告、サイドバー、コメント欄など、本に不要な部分が含まれています。そのまま変換すると、これらも本文に入ります。変換の前に、本文だけを取り出したHTMLを用意するのが基本です。
他人のWebページは、権利を確認する
自分が書いたブログなら問題ありませんが、他人のWebページを電子書籍にして配布したり販売したりするには、著作権者の許可が必要になる場合があります。この記事は、自分の原稿や、利用を許可されたHTMLを対象にしています。
方法1:Calibre(変換ソフト)で変換する
Calibreは、電子書籍の管理と変換ができる無料のソフトです。公式のマニュアルでは、入力できる形式にHTMLとZIPが挙げられています。複数のHTMLファイルは、ZIPにまとめて入力にできます。
手順
- HTMLファイルを(複数ならZIPにまとめて)Calibreに追加する
- 「本を変換」で、出力形式を「EPUB」にする
- 題名・著者・表紙を入力する
- 目次の設定を確認して変換する
目次について
マニュアルによると、目次は、見出しのタグをXPathで指定する方法や、元の文書のリンクから取り出す方法で作れます。見出しにh1・h2などのタグが正しく付いているHTMLほど、目次を作りやすくなります。
向いている場面
HTMLファイルが複数ある、まとめて変換したい、という場面です。
注意点
設定項目が多く、慣れるまでは試行錯誤が必要です。変換したあとに、リーダーやKindle Previewerで確認してください。
方法2:Pandoc(コマンドで変換)
文書を別の形式に変換するコマンドラインツールです。公式のマニュアルでは、入力形式を-f html、出力ファイルの拡張子を.epubで指定できます。
pandoc -f html -s --toc --css style.css --metadata title="題名" -o 本.epub 原稿.html
--toc:目次を自動で作る--css:スタイルシートを指定する(マニュアルは、EPUBにはスタイルシートが必要だと書いている)--metadata title=:題名を指定する
公式のマニュアルには、入力にURLを指定すると、Pandocがその内容を取得すると書かれています。ただし、Webページを指定すると、メニューなどを含むページ全体が対象になるため、本文だけを整理する作業は別に必要です。
向いている場面
章ごとの設定や、CSSの指定を細かく決めたい場合、同じ設定で繰り返し変換したい場合です。コマンド操作とCSSに慣れた人向けです。
方法3:Sigil(EPUBの編集ソフト)で仕上げる
Sigilは、EPUBを編集するための無料のオープンソースのソフトです。EPUB 2と3に対応し、見た目を確認しながら直す表示と、コードを直接直す表示を切り替えられます。目次の自動作成、メタデータの編集、検証の機能も公式の開発ページで紹介されています。
Sigilは、HTMLから変換するソフトではなく、変換したあとのEPUBを直すソフトです。CalibreやPandocで書き出したEPUBを開いて、目次、リンク、見た目を整える使い方が向いています。詳しい流れは、CalibreとSigilでEPUBを作る流れ|変換から仕上げまでにまとめています。
方法4:KDPにHTML(ZIP)のままアップロードする
KDPで出すだけなら、EPUBにしなくてもよい場合があります。KDPのヘルプでは、受け付ける形式に、HTML(ZIP・HTM・HTML)が挙げられています。
ただし、KDPのヘルプで、おもな形式として案内されているのはWord(DOC/DOCX)、KPF、EPUBです。HTMLは、それ以外の形式として並んでいます。HTMLのまま出す場合も、アップロード後のプレビューで、目次と表示を確認してください。
変換前に、HTMLを整える4つのポイント
どの方法でも、結果の差を生むのは変換前のHTMLです。
- 本文だけを取り出す。 メニュー、広告、コメント欄などを除く
- 見出しをタグで付ける。 文字を大きくするのではなく、h1・h2などを使う。目次の自動作成にも必要
- インラインのスタイルを減らす。 見た目はCSSにまとめると、変換後の調整が楽になる
- 画像のパスを確認する。 画像ファイルが一緒に取り込まれているか、リンクが切れていないか
結論:目的で選べば迷わない
| 方法 | 費用 | 向いている人 | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| Calibre | 無料 | HTMLが複数あり、まとめて変換したい | 設定が多い。変換後の確認が必須 |
| Pandoc | 無料 | コマンドとCSSに慣れていて、設定を細かく決めたい | CSSを自分で用意する |
| Sigil | 無料 | 変換後のEPUBを細かく直したい | 変換ではなく編集のためのソフト |
| KDPへHTML(ZIP)で | 無料 | KDPだけで出す | EPUBとしては使えない。プレビューで確認する |
迷ったら、Calibreで変換して、必要ならSigilで直す流れが、取りかかりやすい組み合わせです。
よくある質問
他人のブログ記事をEPUBにしてもよいですか?
自分で読むために保存するのと、配布・販売するのは別です。配布や販売をするには、著作権者の許可が必要になる場合があります。不安な場合は、許可が確認できるものだけを使ってください。
変換後に、サイドバーなどが入ってしまいました。
元のHTMLに含まれている部分が、そのまま入っています。本文だけを取り出したHTMLを用意してから、もう一度変換してください。
変換したEPUBは、どこで確認すればよいですか?
Kindle Previewerは、.epub・.htm・.html・.xhtml・.kpfなどを開ける無料のアプリです。タブレット・スマートフォン・Kindle端末での見え方を確認できます。あわせて、普段お使いのEPUBリーダーでも開いてみてください。