海はまだ夜の匂いを纏っていた。渚に立つと、波打ち際に光る貝殻がひとつ、静かに輝いているのが見えた。彼女はそれを拾い上げ、掌の上で転がしながら、遠くの水平線を見つめていた。
潮風が髪を揺らす。約束の時刻は、とうに過ぎていた。
どれくらいそうしていただろうか。ふと肩に温かい手が触れて、彼女は振り返った。そこには、探していた人の姿があった。
花をあしらった、上品で大人の装い。恋愛小説・ロマンスの縦書きKindle本(epub)を、Wordの原稿から作れます。
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海はまだ夜の匂いを纏っていた。渚に立つと、波打ち際に光る貝殻がひとつ、静かに輝いているのが見えた。彼女はそれを拾い上げ、掌の上で転がしながら、遠くの水平線を見つめていた。
潮風が髪を揺らす。約束の時刻は、とうに過ぎていた。
どれくらいそうしていただろうか。ふと肩に温かい手が触れて、彼女は振り返った。そこには、探していた人の姿があった。
東の空が、少しずつ白んでいく。二人は並んで、夜明けの街を見下ろしていた。
「行こうか」
差し出された手を、彼女は今度こそ、しっかりと握り返した。
夜明けの街で
(著者名)
二〇二六年十月一日 発行
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