先に知っておきたいこと
EPUBは、基本的に「組み直す」形式
W3Cの解説によると、EPUBは、内容をあらかじめページの形に組んでおくのではなく、表示するときにその場で組むことを前提に作られています。リフロー型は、この基本の考え方そのものです。固定レイアウト型は、それとは別に用意された、ページの見た目を決めておく方法です。
仕様では、この2つをパッケージの設定で区別する
EPUB 3.3の仕様では、レイアウトの種類を、rendition:layoutというプロパティで指定します。値は、固定レイアウトを表すpre-paginatedと、既定値のreflowableです。設定がなければ、リフロー型として扱われます。
リフロー型とは
文字が、画面の大きさや読み手の設定に合わせて折り返され、ページ分けされる形式です。W3Cの解説では、読み手の好みの文字サイズに合わせて組み直す、と説明されています。
向いている本
文章が中心の本です。KDPの日本語ヘルプでも、リフロー型は「コンテンツの大部分がテキストで構成される本に最適」と説明されています。小説、エッセイ、実用書などが当てはまります。
メリット
- 画面の大きさや、読み手の文字サイズに合わせて読める
- 本文がテキストとして扱われるため、読み手が文字の大きさや表示を変えやすい
注意点
- 紙の本のように、改行位置や段組みをそのまま保つことには向かない
- 表や図は、画面の大きさによって見え方が変わる
固定レイアウト型とは
ページの大きさや配置を決めておく形式です。W3Cの解説では、子ども向けの本、漫画、雑誌のように、ページを正確に再現したい内容のために使われると説明されています。EPUB 3.3の仕様では、pre-paginatedの文書は、固定の大きさを持つものと定義されています。
向いている本
漫画、絵本、写真集、雑誌、パンフレットなど、見た目が内容の一部になる本です。
注意点
- 読み手が文字の大きさを変えて読む使い方には、向かない
- 見開きの設定など、固定レイアウト向けの設定が必要になる。仕様には、向き(
rendition:orientation)や見開き(rendition:spread)の設定がある
リーダーの対応
EPUB Reading Systems 3.3の仕様は、リーダーが固定レイアウトの文書を表示することを要件(MUST)としています。ただし、実際の見え方は、リーダーごとに差が出ます。仕様の要件と、個別のリーダーでの再現は別なので、作った本は、実際のリーダーで確認してください。
KDPでの位置づけ
KDPの日本語ヘルプでは、電子書籍の形式が、リフロー型と固定レイアウトの2つに大きく分けられています。リフロー型は文章中心の本に最適とされ、固定レイアウトは、印刷版と同じレイアウトを保つ形式です。投稿するときに、どちらの形式で出すかを選びます。
選び方の基準
次の問いで考えます。
- 本の中心は、文章か、見た目か。 文章ならリフロー型、見た目なら固定レイアウト型
- 読み手に、文字の大きさを変えてほしいか。 変えてほしいならリフロー型
- 作る手間をどこまでかけられるか。 固定レイアウトは、ページごとの設定と確認が増えやすい
結論:文章中心なら、リフロー型を基本に
| 項目 | リフロー型 | 固定レイアウト型 |
|---|---|---|
| 組み方 | 画面に合わせて組み直す | ページの見た目を固定する |
| 向く本 | 小説・エッセイ・実用書 | 漫画・絵本・写真集・雑誌 |
| 文字サイズの変更 | 読み手が変えられる | 向かない |
| 仕様の設定 | rendition:layoutはreflowable(既定) | pre-paginated |
よくある質問
小説は、どちらで作ればよいですか?
文章が中心の小説は、リフロー型が基本です。縦書きの小説も、リフロー型で作れます。
漫画は、リフロー型でも作れますか?
漫画は、ページの見た目が内容の一部のため、固定レイアウトが使われます。この記事では、固定レイアウトの作り方までは扱っていません。
後から、形式を変えられますか?
リフロー型と固定レイアウト型は、組み方の前提が違います。途中で変えるのは手間がかかる場合があるので、最初に決めておくのが安心です。